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演劇女子部「ファラオの墓」【感想・初回】

モーニング娘。'17がメインキャストの舞台「ファラオの墓」を見てきた。 「太陽の神殿」「砂漠の月」それぞれの初演を。

いい舞台だと思う。でも???な部分も多かったり。

ネタバレ全開で感想を書きます。

原作との違い

コミックス4巻分を約2時間にまとめるのだから違いがあって当然。 そのまとめ方が、ちょっと私の好みではなかったように思う。

エステーリアとウルジナ、2国が滅ぼし滅ぼされの関係にあり、基本的には憎み合う間柄。 なのにそれぞれの国の姫だったり王子の婚約者が互いの国の王や王子と愛し合う関係になってしまった。 その愛憎のせめぎ合いが苦しくも悲しい、この物語の核だと思っていた。

舞台ではその「憎」の部分が薄れ、「愛」に偏ってしまっているように感じられた。 それはそれで良いのかもしれない。 でも、なんで?と思う部分も多々あった。

原作をベースに観劇したので、その違いに戸惑いながら最後まで見てしまい、 そのせいか変に先読みをしてしまい、 違和感を抱えたまま登場人物の感情の流れに追いつけずに終わってしまったところがある。

2回目の観劇、「砂漠の月」の初演では、それを前提に見ていたので良いのだけれど、 やっぱりわからないなあと思うところも残った。 それが個人的に問題。

なぜなら、その大部分がふくちゃん演じるアンケスエンの最後の行動と言葉だったから。

アンケスエン

アンケスエンはウルジナ国の高官メネブ神官の娘であり国王スネフェルの婚約者。 その彼女が敵国(というかスネフェルが滅ぼしてしまった国)の王子を一目惚れ的に愛してしまった。

そう、まさに一目惚れ。 2人は結果愛し合うわけだけど、ちょっとそこまでの流れが弱いように思えた。 さっき愛に偏ってしまったと書いたけど、たまに大事なところもすっ飛ばしているようで、 このアンケスエンとサリオキスの関係もそう。

スネフェルとナイルキアは、互いの正体を知らぬまま出会い、弱みを見せ合い、共感し惹かれ合う。 再開し愛を確かめ合う。 とても自然だし感情移入もしやすく、良いシーンだった。 この2人の逢瀬のシーンはこの舞台で最も好きなところ。

比べるとサリオキスとアンケスエンは惹かれ合う理由が弱い、 気持ちがついていかなかった。 でもそこまでならまだ良かったのかもしれない。 問題はラストシーン。

ラストシーン

サリオキスとスネフェルの対決。 憎み合い殺し合う2人。

しかし兄と愛する人が憎しみ合うのを憂いたナイルキアの想いを受け継ぎ、 スネフェルを庇ってサリオキスに刺されてアンケスエンは絶命する。

そこで、憎み合うのをやめ和平をとアンケスエンは訴えるのだが、 私には「ナイルキアのように愛する者の手で殺されたかった」、そのように聞こえてしまった。 そこでアンケスエンのことが全然わからなくなってしまった。 私だけでなく、そのように受け取った人も多いみたい。

原作では繊細で気高く誇り高いアンケスエンが、 舞台ではどうにも弱々しく感じてしまう。 主体性や決断力に乏しく状況に流されているよう。 そんな彼女だからこそ、最後の庇ったシーンでも上で書いたように感じてしまったのでは。

いろいろと良い舞台だと思うけど、特にこの一点のおかげでモヤモヤしてしまった。 特に私が譜久村推しというのもあってなんともスッキリしない。

誰も愛さないと言ったアンケスエン、 誰にも愛されず愛することを知らなかったスネフェル、 似ている部分もある2人、 この辺りもう少し掘り下げれば、アンケスエンにももっと深みが出たろうにと思う。

演者

全員書くと大変なので気になったメンバーを。

譜久村聖

アンケスエンについては上に書いたけれど、 演技・歌に関しては特にあれこれ言うことはない、良かったと思う。 まだまだ序盤、奴隷として対面したサリオキスに恋してしまいキャッキャしている姿は新鮮だったし可愛かった。 歌、ラストシーンで愛を歌うのだけれど、良い歌を聞かせてくれている。

ふくちゃんは基本的に「お姫さま」な役が多い。 今回もそう。 続11人いる!では王さまを、これまでと全く異なる役を演じきってくれたけど、 ふくちゃんはこんなこともできるんだ!とえらく感動した。 もっといろんな役を見てみたい。 これもふくちゃんのイメージなのかな。 これらを払拭出来る日がくると良いな。 出来たと思ったんだけどなあ。

佐藤優樹

これは難しい役だ。

物語の語り部であると同時に役も演じているのだけど、 それが何者なのかよくわからない。 エステーリア王妃の侍女でありサリオキスを救う役ではあるのだけど、 ミステリアスすぎて最終的には裏切るんじゃないのかなと思えるくらいよくわからない雰囲気をまとっている。

はっきり言って完全に浮いている、感情が見えづらい。 そして滑舌が良くないのに語り部。 まーちゃんとしては最も苦手とするタイプじゃなかろうか。 これは演出家さんに相談するのもうなずける。

野中美希

フィラメントヴィータから始まり、 順調に役を獲得している感じがとても気持ちが良い。 推されるタイプではないように見えるけど、 それでも前にどんどん出てきているのはそれだけ実力が伴っているから、 伴ってきているからなでしょう。

歌に演技にハープに、どれも良かった。 個人的にはまだ互いの正体を知らぬ幸せな一時を過ごすスネフェルとの歌がとても良かったし好き。

サントラCDの完全版が出るなら、ナイルキアのハープ演奏もぜひ収録してもらいたい。

石田亜佑美

素晴らしい。 何から何までスネフェルだった。 ああ、スネフェルってこういう人だよねと自然と思える。 横柄で高慢、愛されない寂しさと愛する人をできた穏やかな一時、 諦めと狂気、 いろんな表情を多彩に見せてくれる。 石田さんの演技、好きだなあ。

「太陽の神殿」編では舞台全てを統べる存在だった。

これからも舞台が続くなら、来年からはあゆみちゃんが座長になるんだろうな。

工藤遥

ふくちゃんが「お姫さま」ならハルちゃんは「少年」。 何を演じても少年感が出ている。

そのまっすぐさがサリオキスに合っていた。 どぅーがこれまで演じた中で、見てきた中で一番ハマっているように見えた。

生田衣梨奈

とても良い。 ハマってる。

演技や殺陣の最中にアクロバットが入るのだけど、それが結構自然なのである。 よくマンガやアニメで戦闘中に無駄に(?)くるくる回ったりすること多いけど、まさにそれ。 でもそれが自然にできてるのがすごい。 これまでの鍛錬のおかげでしょう。

コンサートでアクロバットするのは正直反対なのだけど、それが活きてるのがいい。

あと歌もとても良かった。 鞘師さん卒業後からコンサートで歌う機会も増え、そこから堰を切ったようにぐんぐん良くなってる。 やはり歌わせるのは大事だと思う。 ふくちゃん、小田ちゃんに偏りすぎ。

飯窪春菜

これまでの舞台でも、大きな役ではないけれど毎度評判の良い演技をしている。 今回も本当に良いキャラを演じている。 ソロ歌唱もがんばってます。

飯窪さんには、そろそろ主役クラスの役を演じてもらいたいな。 演じさせてあげてほしい。

横山玲奈

恐れ入った。 ほんの1年足らず前は普通の女の子だとは思えないほどの舞台度胸。

主にギャグパートを担うといっても良い立場だけど、 しっかり笑いと取っていくし、 この子がでたらきっと面白い、短い時間でそう思わせてしまうのすごい。

その他

ハロプロ研修生、演劇女子部はセリフもほとんどなくて完全にモブだった。 石井杏奈ちゃんを見た記憶がない。 もう少しなんとかならなかったのか。

元宝塚のお2人はさすがすぎて言うことがない。 こういう人達が脇を固めてくれると舞台が引き締まる。

まとめ&その他

ところどころ割と真面目なシーンの裏で何人かがちょっと面白いことをしていることがあるんだけど、 そっちが気になっちゃって真面目なシーンの方のセリフがなかなか頭に入ってこないことが幾らかあった。 面白いんだけど、それってどうなのかなって思ってしまった。 面白いんだけど。

気になるところは多々あるけど、いい舞台だったしまた見たい。

それはそれとして、そろそろ誰も死なない舞台をやってくれないかなあ。 人数も多いことだし群像劇とか見てみたい。