アイドルと旅して山に登る

アイドルを追いかけていたら全国を旅していてついでに山にも登っていた

演劇女子部「ファラオの墓」【感想・ほぼ千秋楽】

「太陽の神殿」の最後とそのひとつ前、 「砂漠の月」の最後を見てきた。

初回鑑賞後の感想はこちら。

tanotano-life.hatenablog.jp

アンケスエン

わからないと言ったアンケスエンのことがわかってきた気がする。

彼女は普通の女の子であり、普通の女の子のようになりたかったんだろう。

サリオとの出会い。 彼への口づけは、生まれる前から(だったかな)決められた許嫁や父への反発からの勢いでしてしまったことではなかろうか。 しかし、勢いであれ初めてしてしまったことへの動揺と、奴隷とは言え美しくもどこか品のある男に惹かれるものがあったのか。

許嫁に縛られ、それならいっそ誰も愛さないと言ったものの本当は普通に恋をしたかったのだろう。 そして唐突に恋は始まってしまった。 一度走り出したら恋心というのは止まらないのだろう。今まで無意識で抑えていたのもある。

ネルラにウキウキとサリオのことを話すアンケスエンのなんと可愛いこと。

ラストシーン

「ナイルキアのように愛する者の手で殺されたかった」

最初見た時にそのように感じてしまったけど、それはやはりその通りなんだろう。 でもそれだけじゃない想いも感じとれた。 平和を願う心も、ナイルキアの遺志を果たしたかった想いも。

平和を願うことと誰かを愛することは同じレベルで共存しうることなんだろう。 なんだかつんく♂さんの歌みたいだ。

ナイルキアに殉じると言ったけど、本当に彼女のような恋がしてみたかったのかもしれない。

よくわからないところもある。 アンケスエン本人もわかってないところがあるのでは。 ただこうするしかなかった、こうしたかったという想いが最後のナイルキアとの対面で触発されて身体を動かしたんだろうか。

スネフェルとアンケスエン

2人は嫌い合っていたわけではないように思う。 意固地というか。

スネフェルがたびたびアンケスエンのもとを訪れて気を引こうとしていることの、なんと不器用で可愛くて、素直に接することのできない愛おしさ。

そんな素直じゃないスネフェルなものだからアンケスエンも素直になれない。 そうやって今更引くに引けなくなった2人が物語の根本にありそう。

だいぶ前に通りすぎてしまった分岐点、そこで違う方に歩いて行けていたら、2人が結ばれる平和なウルジナもあったんじゃないかと思う。 だって絶対、スネフェルはアンケスエンのこと好きだったよ? ナイルキアの恋を応援したのも、 スネフェルにも愛を知り幸せになってほしかった願いもあるのかなって思ったりした。

ラストシーン、自分を庇った時と息絶えた時と、スネフェルは「アンケスエン」とただ呟く。 その胸に去来する想いはどんなだったのかな。 哀しいな。

アンケスエンとナイルキア

アンケスエンがナイルキアに話す時はいつも同じ高さの目線になって語りかけていた。 仕える人はみんな年上(たぶん)、 友だちもいない、 そんな彼女に可愛らしい妹のような存在ができたのは嬉しい出来事だったんじゃないかな。

ナイルキアはアンケスエンを変えた。 美しいハープを弾き、キラキラと輝き、恋心に頬を染め、愛する人同士が憎しみ合うのを憂い止めようとする、輝くナイルキアがいなければアンケスエンは最後に命を懸けてもとは思わなかったのはのでは。

ハープと言えば、ナイルキアは劇中何回かハープを演奏するけど、そのどれも音色が違う。 具体的に何が違うのかわからないけど、心情により弾き分ける野中ちゃんはすごいなと思う。

主従関係

やはり私は主従関係というものが好きだ。

アンケスエンとネルラ、スネフェルとルー、イザイとサライ。もうそれぞれにときめいてしまう。 従がみんな主の感情に寄り添ってるのが本当に良い。 主が従に気を止めることは少ないけど、いるのが当たり前で、でも頼りにしている、お互いの自然な関係が堪らないく良い。

ネルラは小さい頃からアンケスエンと一緒にいたのだろう。 お互い、友だちにも近かったのでは。 そんな2人のやりとりはとても小気味良い。 それでも主従があるのがいいのである。 サリオに恋するアンケスエンに最初は良い顔をしていなかったのに、お互いがいい関係になると主人の恋に胸を踊らせつつも見守る立場になるの良い。 2人が愛を歌った後にアンケスエンに従い去る間際、笑顔でサリオキスに会釈するネルラが良い。

ルーはいつからスネフェルに仕えてたのかな。 この2人も長いのだろう。 皆が恐れる蛇王に、畏れることはあっても恐れることなく心から仕える。 そんなルーの存在がスネフェルにもありがたかったのだろう。 どこの馬の骨とも知れない女が主の前に唐突に表れても、主が心を許せば自分もまたそれに倣う。 スネフェルが偉そうならルーも偉そう、スネフェルが動揺すればルーも動揺する。 そんなルーがとても愛おしい。 サリオとスネフェルの初対面で剣を持ったサリオからサッとルーを庇う、そんなところち2人の良さが垣間見える。

サライはちょっと子分感が強い(笑)。 強く毅然としたイザイを慕い敬い憧れ、この人にどこまでも着いていこうする。 そんな風に思える人がいるのは幸せなことだと思う。 イザイもとても頼りにしている。 あと、サライは嫌がる奴隷を従わせる立場にいるので、奴隷からの印象はそれほどよくないのだろう。 酒を一緒に飲もうとしても無視されたり。 そんな彼もウルジナ兵などからは奴隷を守ったりしていて素敵なんである。 無視されても不貞腐れることなくただ寂しがる、そんなところが良い。

みんな可愛い

こんなに登場人物のみんながみんな可愛いと思ったことはない。 具体的に挙げていくとキリがないけど、 そんな魅力的なキャラがたくさんいて、 それをみんながよく引き出していたのが良い。

歌の説得力

歌が良いと妙に説得されてしまうところがある。

石田さんはコンサートだと、良いところはあってもそれほど歌が上手い部類にいるわけではない。 ところが舞台になると一変する。 今回は過去最高というか、もう何もかもすっ飛ばした凄みがあった。

この舞台で最高の歌を歌ったのは石田さんだろう。 太陽編が良かったという人が多いのは、こういうところにもありそう。

他にもアンケスエン。 彼女の気持ちは何度も書くけどわからないところがある。 でも最後の歌は、そのいろんな感情がないまぜになった響きがあって、最後の行動へ繋がっていく迫力があった。

あとはイザイか。 ただただ力強い。 鷹が立ち上がるところもケス大臣を殺したところも、その熱い感情がまっすぐ突き刺さってくるの素晴らしかった。

モーニング娘。にはこれからも「ごがくゆう」のような演技のみの舞台ではなく歌を交えたミュージカルをやってほしい。

最後に

なんだかんだ見終わってしまうと、良かったなあと思える舞台だった。 今回の感想は演者ではなくキャラクター寄りで書いたけど、そういう風に書いてしまうくらいに、みんな良かったと思う。

また来年も舞台がみたい。 どぅーがいなくなってまた雰囲気は変わるだろう。 楽しみだ。 でもやっぱり人の死なないのがたまには見たい。