アイドルと旅して山に登る

アイドルを追いかけていたら全国を旅していてついでに山にも登っていた

演劇女子部「ファラオの墓〜蛇王・スネフェル〜」

この再演は、去年のスネフェルが素晴らしくて、もう一度見たい、もっと見たい、そういう想いから実現したのかなとか妄想。

石田さんの演技にはそれだけのものがあるし、今回も期待以上のものを見せてくれたと思っている。

スネフェルに的を絞ることによって、シナリオがすっきりしたというか、比較的すんなり腑に落ちる内容になってたと思う。 特にメリエト皇太后を入れたのは良かった。 あれでスネフェルの人間らしさが一層際立った。

思えば、去年はもやもやしてつらつら長文を書いてたな、、、

とは言えやはり尺が短いためか、それ以外が薄いというかサリオキスがちょっと浮いてたかなあとは感じた。

ルー

この物語で一番好きなのがルー。 主従関係、最高です。

誰も寄せ付けないスネフェル。 そんな彼が「みんな出て行け!」と言ったあとに、 理由があったとは呼び寄せたのはルー。 無礼な口を聞くのに文句は言うものの咎めない。 肩を組んだのもルーだけ(前回はなかった!はず)。

スネフェルは意識していないかもしれないけど、心を許している、頼りにしているというか大事にしているというか、そういう立場にいる。

ナイルキアや皇太后とは違った、ある種の信頼感がある。

ルーはルーで主のことがとても好き。 酷薄ではあるけど、それを良しとは思っていないけど、それも含めて主が好き。

マリタから薬をもらって歌った、その歌にはもっと優しい人になってほしいと言った気持ちが込められていたし、ナイルキアと出会ったスネフェルの変化を、なんの屈託もなく喜ぶルー。

下僕の鑑ですよ。 ある意味でとても憧れるし羨ましい。

そんなルーは、スネフェルの死を知ったあと何を考えたんだろうな。

魅力的なルーをはきはきと演じた横山ちゃん、主への愛情をいっぱいに感じる良い演技でした。 笑顔も辛い表情もたくさん見た。 いやあ、好きになってしまう。

トキ

ふくちゃんはいつも王族だったり高貴だったり、舞台の「上」にいる役が多い。本当に多い。

今回はちょっと違う。 母親というやはり年上の役ではあるけど、「下」で他の人とまざって立ち回ったり首を落とされそうになったり。 なかなか見れないものが見れて嬉しかった。

とは言え、考えてみれば王妃の侍女? それくらいの立場だと決して地位は低くない(と思う)。 ナイルもメネブ神官に上流社会の嗜みを身につけよと言われていた。 それ以上である。

そんな人が奴隷に身を落とし、それまで交わっていなかったような平民ともワイワイとお酒を飲んだりイザイを殴ったり(笑)。 考えてみると面白い役回りだ。

奴隷を統率するのはイザイだけど、それこそ奴隷の精神的な母、みたいなのはトキだったのかなと思う。

これまでのふくちゃんを感じさせるようなサリオキス王子との絡みもあれば、粗野なイザイを「全くこの人はしょうがないわね」と姉さん女房よろしく窘める。 本当に面白い。

立ち上がった砂漠の鷹軍団でも、戦闘には参加しないものの、牽引する一翼は担っていたのではないかと思う。 歌にその力強さと存在感が宿ってた。 あまり表には出さないウルジナへの憎しみ、それを感じさせる熱量だった。

今までにない、それでいてちょっぴり今までを感じさせる、良い役だった。トキがふくちゃんで良かった。

イザイ

本人が言ってたように、新境地を開拓できたのではと思う。

すごく作り込んできたし見事に堂々と演じきった。 そして「おっさん」を演じることを心から楽しんでたのも伝わってきた。 野中ちゃん良かったよ。

たくさんの歌が舞台にはあったけど、ゾクゾクきたのはほぼイザイ。 低く響く、轟くような歌がまっすぐビリビリと心に届いてきた。

また、千秋楽は席がスピーカー前で耳と頭に厳しかったのだけど、イザイの歌は不思議とそういう意味で優しかった。 野中ちゃんのそれが声質なのか。

しかし、ところどころに出てしまう野中み、これが愛おしくなってしまったのもまた事実。

本人の努力もあるけど、野中ちゃんはとても器用なんだと思う。いろんなタイプの役をやらせたい。そして毎回いいねと思う自分がいるのが容易に想像できる。

ジク

最後の挨拶で言っていたけど、役を通して自分を発見しているようで、それ自体を発見したまーちゃんの今後がとても楽しみ。

悪い役を悪く演じることで何を発見したのかな。 ただでさえ多彩なまーちゃんが、もっともっと自分を掘り下げてしまう、何が飛び出すのやら。

アンケスエン

前回のふくちゃんとは全然違うのが面白い。 個性ってすごい。

まりあの、背筋のピンと伸びた姿がとても好き。 気品があって凛々しくて、毅然としてぶれずに自分の気持ちにまっすぐなところに牧野真莉愛がにじみ出ているけど、それなのに不思議とアンケスエンだった。 ふくちゃんとも原作とも違うけど、良いアンケスエンだった。

私が最初に見たのは3日目。 次に見たのが2週間後の大阪。 その間で一番目に見えて変わったと印象付けられたのがアンケスエンだった。 美しい物を美しいと思うスネフェルを鼻で笑うような姿、ナイルが死んだことに言葉が激しくなる姿などなど、、、たくさん研究したんだろうな。

誰も愛したことがないというけれど、本当にそうなの???と話す言葉の端々に感じる。 この人も掘り下げると面白いと思う。

おわりに

何の感想かわからない文章をつらつら書いてしまったけど、 それぞれが精一杯に生きて、メンバーも一緒に精一杯に生きて、それが心に届く、悲しいけれど良い舞台でした。

いろんな表情、新たな一面が見られる舞台、来年もあるとは思うけど、あるのを当たり前と思わず待ち望みたい。